29日

次の日。バスに乗って気づいたら到着。橋の上でみたお城はまるでホーンテッドマンションで、近くから見たお城はまるでタワーオブテラー。ディズニーでしか例えられない知識の浅さ。見たことも聞いたこともないおじいちゃんに連れられて、わけもわからずとりあえず笑っとく。茶色の街はスーパーサッカーのオープニングみたいで、雨がその淡さを強調する。晴れより雨は、その街の恐怖を助長する。恐怖は僕の心に違った感情で突き刺さる。雨でよかったと思う。
次の街。城壁に囲まれた街がいまだにその営みをやめることなく存在している。世界の終わりみたいなその街は、日本人がやたら多い。庭がかわいくて、生を取り囲む壁はなぜか暖かい。2月も終わりというのにクリスマス気分を存分に味わい、ガイドブックと同じ写真を喜んで撮る。またジャガイモを食べて、クッキーをぐちゃってしたものを食べる。クッキーをぐちゃってしたものは3日後まで残る。やむことなく降り続いた雨だけど、この街の雨は優しい。雨の効用も街によって変わるのだ。
もうホテルにつく時間になって、テレビに映ったマッチョはなぜか笑える。筋肉番付もこのくらいエンターテイメント性があれば、僕は見るのに。昨日は体まで洗えたシャンプーだったが、今日はハンドソープの役割まで追加されていた。僕がこいつだったら、プレッシャーで押しつぶされてしまう。