東京奇譚集

MI332005-10-31

村上春樹著 新潮社
読書の秋第2弾
ちょっとしたツテで借りました。前から読みたかったのでドキドキしてました。正直な感想は、面白いことは面白いんですけど、そんな期待してたほどって感じです。5話あるんですけどどれも盛り上がってきた時に終わってしまうし、満腹感は感じられません。奇譚=不思議な、あやしい、ありそうにない話。ってことなのでメッセージ的なものはあまり感じ取れません。けど最後の「品川猿」って話はよかったと思います。名前をテーマにした物語で、名前のもつ意味、人の心にひそやかに潜む闇というものを考えさせられると思います。
でも、文章の書き方はさすがって感じです。人を引っ張る力がそれにはあり、人の興味をそそるような書き方がすばらしいと思います。言葉の持つ魅力を出すというか、その言葉をうまくうまく使い、文章全体の中で言葉をうまく歯車として使ってる感じがします。人をうまくひきつけるので、その分引っ張られたところで物語が終わったりしてしまい、腑に落ちない感じになってしまうと思います。けれど、あっという間に読み終えてしまうのは、文章全体の構成の仕方がうまいからではないかと思います。