心が伸びをした。

秩父上陸。電車で2時間かけて秩父上陸。もちろん片道で。秩父上陸。「寒い、遠い」秩父秩父言い過ぎましたが。まずは羊山。ついてすぐ紹介されたのは武甲山でしたが、行ったのは羊山。市街を一望。今は動いていないかっこよさげなセメント工場や、百貨店と言い張るイトーヨーカドーみたいな商業施設、往復で1kmあるらしい秩父のレインボーブリッジ。市街を一望。
そんな羊山に別れを告げ、羊に挨拶をし忘れ、ピクニック気分で野外でお弁当。秩父ミューズパーク。由来はギリシャ神話にあるらしく、そのパークもギリシャ仕込みの建物が数々と。南こうせつがやったという野外ステージに上り、気分はもうEGO−WRAPPIN’。高まる気持ちを抑えつつ、中学時代にやったというゆずステージの興奮を抑えつつ、チンチン電車の音色に耳を傾ける。周りの真っ赤に色づいた葉や、もう落ちてしまった葉に興味を注ぎながら、絶妙なコンビネーションの山々に目を向ける。赤、黄、緑。自然の絵画。切り取った写真のように。
葉の観賞。長瀞へ。たくさんの観光客にまぎれ出来立てであろうせんべいの食べ歩き。きゅうりの食べ歩きは忘れることにした。谷間に流れる川。その片側を岩畳で敷き詰める。川の緑深い青、その上にまるで浮かぶかのように存在する絵画。緑が少し多いことを嘆きながらも、その生命力溢れる自然に感動。緑ってことはまだ生きてるってこと。赤や黄色が綺麗に見えるのは、それまでの生あってこそ。超新星。岩畳を歩きながら。
天然氷のかき氷。もちろん季節は冬まっしぐら。もちろんそこも寒風ふく外で。寒い時に寒いものを食べる。天然氷のおいしさは今まで食べてきたことのない感じ。でもやっぱり寒い。
さぁどうしようか。時刻は17時半ごろ。帰るにはやすぎる。ごはん食べるにしても、氷を食べたばっか。それに大量に持ってきたドーナツが不自然すぎる。心の準備はまだ。たぶんいつになっても。だったら満を持して。
「はじめまして、おじゃまします」
自己紹介なんてする余裕すらない。目を見る余裕すらないのだから。逃げ出したい気持ちは抑えることはもちろんできません。
過去を知ることに少しの勇気がいる。そこには自分の知らないものが写っているのだから。知らない過去を知ることを避けてきたけど。過去をも共有する勇気を持とう。別にそこにあるものが何であれ、今そこにいることがまぎれもない事実。思い出じゃなく今ここにいる。だったら過去を知ることに抵抗はない。そんな大げさなことではない。ただ卒アルを見ただけだから。
こんな自分を温かく迎えていただきありがとうございました。今度はしっかりと自己紹介もします。「青年」じゃなくて名前で呼ばれるように。ドーナツのリクエストあるならなんだって聞きますんで。
秩父。ありがとう。育んでくれて。出会わしてくれてありがとう。生まれてきてくれてありがとう。